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少し変わった子あります 森 博嗣 



◆ひとことストーリィ
謎めいた料理店で出会うその場限りの異性たち。夢と現実、思考と会話が交錯する森博嗣ワールド。

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◆気ままな読書感想
久しぶりに森博嗣さんの本を読んで良かったなぁと思えた。彼の本領はミステリよりもファンタジィとか哲学といった方面なのかもしれない。
私にとって良い本というのは、別世界に飛翔できることとスタイルが伝わってくること、という二つの要素が欠かせない。別世界に飛翔できる、というのは、読んでいる最中にその本の1ページめからその「世界」に引きずり込まれるといった感覚で、スタイルが伝わってくるというのはその本や作家が持つ美意識や哲学(それが自分自身とはかけ離れているとしても)がくっきりと存在していることだ。出版業界ではどちらかが満たされているなら商売になるらしく、そんな小説も多いけれど、それは私にとって最後まで良い本にはなりえない。
この「少し変わった子あります」は、どちらも充分に満足させてくれるものだった。ありそうでなさそうな不思議なシステムの料理店やそこで一緒に食事をするだけの相手との会話は幻想的で、でも考えさせられて、とても有意義な読書体験だったと思わせてくれた。
この作品のテーマを一言で言うとすれば、「仮面と演技」だ。人はいくつも「自分」を持っていて、その場その場によっていろいろな仮面をつけて演技をする。本当の自分なんて探したらいけないし、どんな仮面を被っていてもそれは本当の自分だったりもして、昨日会った人は今日目の前にいる人とは別の人間とも言えて、どこまでが一個の個人でその境界線はどこなのかわからなくなる。
人間の脳の最大の特徴は曖昧さで、くっきりはっきり全てを記憶していると、例えば髪を1cm切っただけで別者と認識してしまい、つまり昨日会った人と同じ今日会った人は別人になる・・なんて話を思い出したりした。
いつでも今日が残された人生の最初の一日、起きる瞬間に毎日私は生まれると意識して生活していても、何故か慣れた仮面と衣装を身にまとって同じ人間になりすます。真実なんて生物の数だけあって、だったら自分が幸せに無事に一日を終えたことに感謝するだけで良いのでは、と思わせてくれる、癒しの小説だった。



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